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Vol.55 · 2026年11月2日

dera news AI Weekly Vol.55 | 2026-11-02 - 今週のAIニュース

🤖 dera news AI Weekly Vol.55

2026-11-02号

Anthropicは10月26日(米国時間)に上場の申請書類(目論見書)を公開し、4〜6月期は売上116億ドルで本業のもうけ(営業利益)が黒字だったと示しました。Alphabetは28日(米国時間)の決算で設備投資が過去最高の514億ドルになったと発表し、翌日の株価は2004年の上場以来最大の下げになりました。


📊 今週知っておくべきこと

Alphabetは設備投資が重くフリーキャッシュフローがマイナスになり、AnthropicはBroadcomの半導体を専用の会社に買ってもらって借りる計画です(記事1・2)。 AIの会社の数字を比べる時は、設備の費用を自社で払っているか、借りて使っているかまで見ましょう。

OpenAIは中位のGPT-6.1 Terraを上位のSolの半額で出し、Googleは最上位のGemini 4 Carbonの料金を導入期間のあとに2倍にします(記事3・9)。 Carbonの導入期間の終わりの日はGoogleが示していません。

Anthropicはクラウド経由の販売を全額含めた売上を公表し、OpenAIは自社のAIが出した証明の検証を外部の専門家に頼みました(記事1・4)。 どちらも会社自身の発表なので、社内の資料に使う時は数え方と検証の結果を添えましょう。

CrowdStrikeは主にDeepSeekのモデルで動くAIエージェント(目的に向けて自分で作業を進めるAI)が侵入後の作業を手分けした攻撃を報告し、Googleは最上位のGemini 4 Carbonをサイバー防御の組織に先に渡しました(記事3・8)。

政府はAI推進法に罰則を入れるかの議論を始め、OpenAI・Google・MicrosoftはAIの学習を断る共通の指定を読み取る方針を表明しました(記事5・7)。 どちらも決まるのはこれからで、日本の方向性は年内、OpenAIの対応は数カ月以内、Googleの対応は2027年です。


💡 今週のアクション

1. GPT-6.1 Terra(記事9)にPCの決まった作業を1つ任せ、かかった時間を測る(30分) ChatGPTの対象のプラン(記事9)を使っている人は、PDFの表の数字を表計算ソフトに移すような毎週の作業を1つTerraに頼みましょう。手作業と比べて何分かかったか、どこで止まったかを記録します。 → OpenAI: Introducing GPT-6.1 Terra(英語)

2. robots.txtの共通の指定(記事5)で、会社のサイトをAIの学習に使わせるかを決める(20分) 会社のサイトの記事や資料をAIの学習に使わせてよいかを、広報や法務の担当者と決めましょう。決まったら、記事5の書き方でrobots.txt(サイトを自動で巡回するプログラム「クローラー」に、読んでよい範囲を伝えるファイル)に書くよう、サイトの管理者か制作会社に頼みます。各社が読み取りを始めるまで、この行は効きません。 → ITmedia NEWS: AI学習拒否をrobots.txtで一括指定

3. Gemini 4 Carbon(記事3)のような値上げに備え、AIサービスごとに払える上限を決める(30分) いま払っているAIサービスを一覧にし、料金が何割上がっても使い続けるか、上がったら何を減らすかを書き出しましょう。書いた一覧は予算の担当者と共有します。 → Google: Introducing Gemini 4 Carbon(英語)


📰 今週のAI記事(全10本)

1️⃣ Anthropicが上場の申請書類を公開、4〜6月期は営業黒字

🏷️ 資金, 上場, Anthropic 何が起きた? Anthropicは10月26日(米国時間)に米証券取引委員会(SEC)への上場の申請書類(S-1、目論見書)を公開し、米ナスダックに上場すると明らかにしました。4〜6月期の売上は116億ドルで、本業のもうけを示す営業利益は約9億7,400万ドルの黒字でした。売上にはAWSなどクラウド経由の販売も全額を含めて数えています。上場後も共同創業者7人が共同の会社を通じて特別な株(クラスF)1株を持ち、議決権の50.1%を握ります。ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の話として、Anthropicが11月16日の週の上場を目指しており、評価額1.5兆〜2兆ドルで1,000億ドル以上を集める可能性があると報じています(時期は変わる可能性があります)。 わたしたちの見方 同じ週に銀行3行と米投資会社Blackstoneは半導体大手Broadcomの半導体を買ってAnthropicに貸し出す専用の会社に630億ドルの資金を手配すると発表しました。英フィナンシャル・タイムズによると、Blackstoneは上場後のAnthropicの信用格付けを、投資適格のすぐ下にあたる「BB」台と見込んでいます。Claudeを来年の予算に組み込む会社は主要な取引先と同じようにAnthropicの決算と格付けを年に一度確かめる担当者を決めておきましょう。 📎 元記事を読む

2️⃣ Alphabetの株価が上場以来最大の下げ、AIの設備投資に投資家が疑問

🏷️ 決算, 資金, Google, 日本 何が起きた? Alphabetは10月28日(米国時間)に7〜9月期の決算を発表し、Google Cloudの売上は前年同期の2倍を超える307億ドルでした。設備投資は過去最高の514億ドルで、フリーキャッシュフロー(営業で得た現金から設備投資を引いた残り)はマイナス91億ドルでした。翌29日の取引で株価は約12.6%下がり、2004年の上場以来最大の下げになりました。東京では30日に日経平均が一時3%下がり、半導体の検査装置を作るアドバンテストは28日に業績予想を上げたばかりでも一時9.1%下げました。 わたしたちの見方 先週はAmazonのアンディ・ジャシー氏がAWSの2027年分の容量はほぼ売り切れだと述べましたが、今週はAlphabetの株が売られ、AI向けの支出をいつ回収できるかに投資家が厳しい目を向けました。AIの会社は回収を急ぐので、いまの割引や無料の枠は同じ条件のままでは続きにくいでしょう。AIサービスの年額契約を結ぶ時は料金を据え置く期間が契約書に書かれているかを見ておきましょう。 📎 元記事を読む

3️⃣ Googleの最上位「Gemini 4 Carbon」、まずサイバー防御の組織に提供

🏷️ AIモデル, セキュリティ, Google, 料金 何が起きた? Googleは10月28日(米国時間)に最上位のモデル「Gemini 4 Carbon」を発表し、まずサイバー防御を担う選ばれた組織に提供し始めました。1カ月前のGemini 4 Argonもサイバー防御の組織に先に出しました。開発者や一般向けの提供は意見を集めて安全策を改良したうえで「できるだけ早く」するとし、時期は示していません。料金は100万トークン(AIが読み書きする文字数の単位)あたり入力2ドル・出力10ドルで始め、終わりの日を示していない導入期間のあとは4ドル・20ドルに上がります。評価機関Artificial Analysisが27日に改訂した総合指標で、AnthropicのOpus 5.5をわずかに上回って首位になりました。 わたしたちの見方 一般の利用者が使える時期は決まっておらず、最上位のモデルを使えるかどうかは提供元に選ばれるかで決まる場面が増えるでしょう。セキュリティの製品やサービスの契約先に、こうした先行提供の枠に参加しているかを聞いてみましょう。 📎 元記事を読む

4️⃣ OpenAI、AIが計算機科学の「指数時間仮説」を覆したと発表

🏷️ 研究, OpenAI 何が起きた? OpenAIは10月26日(米国時間)に社内のAIモデルが計算機科学の「指数時間仮説」を覆したと発表しました。指数時間仮説は「ある種の難しい問題はすべての組み合わせを試すより大幅に速くは解けない」とする仮定で、1990年代末から広く正しいと考えられてきました。OpenAIは論文と、証明を1ステップずつ機械で確かめるソフト「Lean」で書いた証明を公開し、仮説を提唱したカリフォルニア大学サンディエゴ校のインパリアッツォ氏とパトゥリ氏、MITのウィリアムズ氏らに独立した検証を依頼しました。ウィリアムズ氏は証明が成り立つかを調べている最中だと話しています。 わたしたちの見方 3週間前にOpenAIはAIが書いた数学の論文をまとめて公開し、あとで一部を取り下げました。今回は発表と同時に外部の専門家に検証を頼んでおり、成果が正しいかは検証が終わるまで分かりません。AIに調べさせた結論を社内の判断に使う前に、元の資料を1つ開いて書かれているとおりかを確かめましょう。 📎 元記事を読む

5️⃣ AIの学習を断るrobots.txtの共通の指定に、OpenAIなど3社が対応を表明

🏷️ データ, 著作権, OpenAI, Google, Microsoft, Anthropic 何が起きた? OpenAI・Google・Microsoftは10月30日(米国時間)にAIの学習への利用をまとめて断れるrobots.txtの共通の指定に対応すると表明しました。指定はAnthropicで標準化を担当するケビン・ケリー氏が個人としてIETF(インターネットの技術標準を決める団体)に出した草案で、まだ標準になっていません。宛先を書くUser-Agentの行に「__usage_ai-training」と書き、Disallow(禁止)で学習を拒否しAllow(許可)で認めます。OpenAIは数カ月以内、Googleは2027年に対応し、Microsoftのクローラーは2027年2月1日から読み取ります。 わたしたちの見方 サイトの運営者はこれまでAIの会社ごとにクローラーの名前を調べて拒否を書いてきましたが、各社が読み取りを始めれば1つの指定で学習への意思を示せます。それまではこの指定だけでは学習を断れないので、いまAIの会社ごとに書いている拒否の行は消さずに残しておきましょう。 📎 元記事を読む

6️⃣ Microsoft、社員の約4分の1にあたる約6万人に希望退職を提示

🏷️ 雇用, Microsoft 何が起きた? Microsoftは10月26日(米国時間)に米国・英国・カナダ・インドの社員約6万人に希望退職を提示しました。対象は参加する部門の副社長級以下の社員で、全社員約22万3,000人の約27%にあたります。社員は12月初めまでに応じるかどうかを決め、条件は地域ごとの標準的な退職金と同程度だと広報担当者は説明しています。最高人事責任者のエイミー・コールマン氏は社内向けのメモで、会社の外での将来を考えている社員に新しい選択肢を与え、参加する部門には変わるニーズに合わせて人員を調整するもう1つの方法になると説明しました。広報担当者はAIが今回の理由ではないとしています。 わたしたちの見方 MicrosoftはAIを理由に挙げていませんが、全社員の約4分の1に辞める選択肢を示しました。チームの仕事のうちAIに任せる作業と人が続ける作業を、今のうちに分けて話し合っておきましょう。 📎 元記事を読む

7️⃣ 政府がAI推進法の見直しの議論を始める、悪質な事業者への罰則が焦点

🏷️ 政策, 日本 何が起きた? 政府は10月26日に「AI政策に関する有識者会議」を開き、2025年に成立したAI推進法の見直しの議論を始めました。悪質な事業者への罰則を入れるかが焦点です。AI推進法には今は罰則がなく、古川俊治デジタル相は「どのように信頼性を確保すべきか意見をいただきたい」と求めました。政府はAIが人の意図しない動きをする「暴走」のおそれやAIを悪用したサイバー攻撃の深刻化などを、検討の対象に挙げています。大学教授らの作業部会が28日から論点を整理し、AIの開発者からも話を聞いて年内に見直しの方向性を示します。 わたしたちの見方 1カ月前の10月2日に古川氏が改正も含めて検討すると述べたあと、今回の会議で議論が始まりました。罰則の対象がAIを作る会社に限られるか、AIを使ってサービスを出す会社まで含むかはまだ示されておらず、その書き方で日本でAIを使う多くの会社への影響は大きく変わるでしょう。AIを組み込んだサービスを出している会社は年内に示される方向性で「事業者」の範囲がどう書かれるかを法務の担当者と見ておきましょう。 📎 元記事を読む

8️⃣ 中国系の攻撃グループ、AIツール「ARTEX」で200超の組織を狙う

🏷️ セキュリティ, 中国, DeepSeek, エージェント 何が起きた? セキュリティ会社のCrowdStrikeは10月29日(米国時間)に中国とつながる攻撃グループ「VAPOR PANDA」がAIツール「ARTEX」を使って10月17日からの11日間に200を超える組織を狙ったと報告しました。ARTEXでは主に中国のAI会社DeepSeekのモデルが動き、複数のAIエージェントが侵入後の調査やほかのサーバーへの移動を手分けし、要所では人が指示を出していました。侵入後の活動を確認できたのは9組織で、標的には各地の外務省や米国の半導体・防衛などの組織が含まれます。CrowdStrikeはこの攻撃をMicrosoftが10月21日に報告したARTEXの攻撃とは別のものとし、日本の組織が標的に含まれるかは書いていません。 わたしたちの見方 先週はGMOサイバーセキュリティ byイエラエが日本企業を狙う攻撃の拠点でARTEXを見つけ、今回はCrowdStrikeがDeepSeekのモデルで同じツールを動かした攻撃を報告しました。CrowdStrikeは金銭目的の攻撃者などがARTEXや似たAIの仕組みを使っているのも確認しています。CrowdStrikeは情報の流出が疑われたら、古いバックアップに残るものも含めて署名用の鍵やサービスの認証情報を入れ替えるよう勧めているので、入れ替える対象の一覧を今のうちに作っておきましょう。 📎 元記事を読む

9️⃣ OpenAI、PCを操作する「GPT-6.1 Terra」を上位の半額で

🏷️ AIモデル, エージェント, OpenAI, 料金 何が起きた? OpenAIは10月26日(米国時間)に中位のモデル「GPT-6.1 Terra」を出しました。AIが画面を見てマウスとキーボードを動かす「コンピューター操作」を得意とします。ChatGPTのPlus・Pro・Enterprise・Eduの利用者がChatGPT WorkとCodex(OpenAIのコーディング用ツール)で使え、開発者向けのAPI(ソフトからAIを呼び出す窓口)の料金は100万トークンあたり入力1ドル・出力5ドルでGPT-6.1 Solの半額です。OpenAIは自社の評価でコンピューター操作の作業を終える速さが上位のSolやAstraの3倍を超えるとしつつ、最も複雑なコーディングにはSolかAstraを勧めています。 わたしたちの見方 先週はOpenAIが年間1億ドルを超える契約で30%を超える値引きをしたとThe Informationが報じ、今回は前の世代のGPT-5.6 Terraより安いモデルが出ました。報道のとおりOpenAIが料金で顧客を取りにいくなら、PCの作業をAIに任せる費用はしばらく下がりやすいでしょう。AIに操作させてよいアプリやフォルダを、情報システムの担当者と先に決めておきましょう。 📎 元記事を読む

🔟 AppleのSiri AIが日本語に対応、iPhone 15 Pro以降で使える

🏷️ Apple, 日本 何が起きた? Appleは10月26日(米国時間)に出したiOS 27.2で、SiriのAI機能「Siri AI」を日本語・フランス語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語に広げました。iPhone 15 Pro以降で使え、過去の会話を覚えていて前に答えた内容を聞き直せます。EUと中国本土では提供していません。 わたしたちの見方 Appleは9月に予告したとおり10月に日本語のSiri AIを出しました。iPhone 15 Pro以降を持っている人は日本語のSiri AIに長いメールの要約を1つ頼み、仕事に使えるかを試してみましょう。 📎 元記事を読む


📚 編集後記

Anthropicは目論見書のリスク要因(投資家に示す危険の一覧)に、最新の大型モデルの学習の開始を最近1カ月以上遅らせたと書きました。モデルの中身(重み)や知的財産を盗まれないための対策を強めるためと説明しています。Claudeの提供や新しいモデルの出荷が止まったり遅れたりしうる理由をAnthropic自身がどう見ているかは、その章で確かめられます。

来週も、役に立つ情報と考えるきっかけをお届けします。 dera news 編集部